ボブ・ディランのDVD 「No Direction Home:ノー・ディレクション・ホーム」の日本版を観た

昨晩は予約しておいた、ボブ・ディランのDVD 「No Direction Home:ノー・ディレクション・ホーム」の日本版が届いたので、ワールドカップもそっちのけで、特典映像も含め4時間超、一気に観させていただきました。US版のDVD、NHK-Hivion放映、今年のお正月に東京ではロードショーも行われて、内容についてはいまさら説明の必要もないでしょうが、テレビ放映時にスポンサーになったApple のQuickTime のページによりますと
「20世紀音楽史最大のイコン、ボブ・ディランマーティン・スコセッシ監督は、400時間にも及ぶ未公開のコンサート映像などと共に、ディランがこれまで明らかにしてこなかったロックスターとして君臨するまでの足跡を彼自身の言葉で初めて語っている貴重なインタビューを盛り込み、一人の男と音楽の旅について語ると同時にその物語を、人類の歴史というより大きなキャンパスの中に描き出してみせた。本作はかわりつつあったアメリカ文化、そこに流れていた音楽、政治、芸術、文学と詩、私たちがまだ見たことがない、アメリカとロックの歴史をよりリアルに目撃することができる。」
ということで、伝説がいつも一人歩きしてしまって、いろいろと誤解を受けてきたであろう、ボブ・ディランの真実に、マーティン・スコセッシがディランへのインタビューで迫ります。作品冒頭の The Band (ホークス)を従えたイギリスでの、アコースティックギターからエレクトリックギターに持ち替えたディランが、ファンからブーイングを浴びた伝説の「ライク・ア・ローリング・ストーン」のパフォーマンスは、本当に鳥肌もの。ブーイングに対して「これがアメリカだ」ときっぱり古い考えのファンに決別するディランの表情や、ジョーン・バエズが、「最高のプロテストソングを作るアーティスト」とディランをリスペクトしながら、プロテストの活動の場にはほとんど関わらなかったディランの考え方が理解出来ず決別した心境を語るシーン、キューバ危機、公民権運動、ベトナム戦争JFK 暗殺等、60年代のアメリカを象徴する出来事の中でいつも代弁者として祭り上げられたディランの苦悩・葛藤という過去を丁寧に描ききっていることはもちろん、今まだディランがこの時代のメインストリームで生き続けているということが、この作品の通常の伝記ものと決定的に違うところ。当然、本編に入る貴重なライブ映像は、ノーカットで収録していては全く時間が足りないので、ほとんどがインタビューにかぶりますが、そんなことは全く気にならないほど、ドキュメンタリーとして完成度の高い作品だと思いました。本編でカットされたパフォーマンスが、特典映像で「ライク・ア・ローリング・ストーン」も含め8曲、46分 ノーカットで収録されているのには感激しました。ボブ・ディランファンじゃなくても、必携の作品かと。